スポーツをしている子どもに多く発症しやすい腰痛に「腰椎分離症(ようついぶんりしょう)」というものがあります。
腰椎分離症とは、腰椎といわれる背骨の突起(とっき)の一部が疲労骨折(ひろうこっせつ)を起こしている状態のことです。
その背骨の突起は左右2つあり、片側が分離する場合と、両側が分離する場合があります。
体を極端に反らす動作を繰り返すスポーツで腰椎分離症は起こることが多く、一般的にはどのスポーツでも起こる可能性はありますが、代表的なものとして、体操、バレエ、野球、バドミントン、テニス、バレーボールなどがあります。
どの腰椎でも起こることがありますが、主に背骨の一番下にある「腰椎の5番」という部分に多く起こります。
主な症状は、腰痛になります。
整形外科での治療は一般的に、コルセットを処方し3~4ヶ月ほどスポーツを休止します。
しかし、レントゲン検査で腰椎分離症があるかどうかわかるのですが、それがいつ起きた腰椎分離症なのかは、実際わかるのは難しいのが現状です。
上のイラストにある分離した部分をご覧頂くと痛々しそうな感じに思えますが、実は、腰痛の医学のなかでもいわれていることですが、分離があったからといって必ず痛み(腰痛)がでるとは限りません!
レントゲンなどの画像検査の異常は、必ずしも症状がでるというわけではないということです。
人は、痛みの状態でスポーツを休んだらよいかどうか決めます。
つまり、「動いても痛みが少ないのに、いつまでスポーツを休まなければならない?」という疑問がでてきます。
「レギュラー争いをしているので、休むわけにはいかない!」あるいは「近い日に大事な試合があるので、休むわけにはいかない!」という人がいることも事実です。
経験例ですが、腰椎分離症と診断されて「3ヶ月間はスポーツを休んでください」とお医者さんに言われた選手がいました。
周りの人に遅れをとることになったせいか精神的に不安定になり、約2ヶ月後に部活を辞めてしまいましたということがあります。
その選手の人生を変えてしまうことになりかねませんので、当院での腰椎分離症の生活指導では、今現在の部活での状況をしっかり聞いたうえで、腰痛の痛みの状態によっては、スポーツをやれる範囲でやらせることがあります。
ただ、誤解がないようにして頂きたいのですが、本当に腰椎分離症を発症して間もない場合は、早ければ早いほどコルセットをし、スポーツを休むことでよくなることがあります。
成人の腰椎分離症では、腰椎分離症の「45年フォローアップ」というものがあります。
これは、子どもの時にみつけた腰椎分離症の人のグループを、その後45年間ずっと追跡調査をした研究の報告になります。
その結果、その後の人生で腰痛になって手術をする頻度は、子どもの時に腰椎分離症があってもなくても、全く同じであることがわかりました。
つまり、もし大人になって腰椎分離症がみつかったとしても、必ずしも施術の必要はないということです。
したがって、成人の腰椎分離症は、40歳代・50歳代までであれば、普通の人と変わりなく運動ができ、普通に生活して全く問題はありません。
ただ、子どもの頃の腰椎分離症を放っておかず、初期に施術をすることが大切です。
また、腰椎分離症は分離自体には問題ないのですが、腰椎が不安定となるケースもあり、慢性腰痛の原因にもなりますので、その場合は施術・予防・日常生活の見直しが必要になります。
当院では、整形外科で「腰椎分離症」と言われた方も多くご来院されます。
腰痛の原因が必ずしも腰椎分離症ではなく、仙腸関節(せんちょうかんせつ)で起きている腰痛のことも少なくありません!
したがって当院では、身体の状態をしっかり評価し、腰痛の原因をつきとめ施術を行っていきます。