近年、高齢者の増加により、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)に伴う背骨の圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)を起こしている人が増えています。
・ 尻もちをついたとき、転倒したときに腰が痛い
・ 重たい物を持ったら腰が痛くなった
・ 作業中に急に腰が痛くなった
・ 原因がわからずに突然腰が痛い
・ 急に背中が丸くなった
・ 急に背が縮んだ
こういった高齢の方が上記の症状がある場合、背骨の圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)の可能性を考えます。
背骨の圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)は、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)によって骨の強度が弱くなり、骨折の危険性が高くなることで、背骨の「椎体(ついたい)」といわれる場所を骨折するものです。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が進行してしまうと、軽い衝撃で骨折することもあり、ひどい場合は、気がつかないままに骨折してしまうこともあります(いつの間にか骨折)。
日本での骨粗鬆症の方は現在、男性が300万人、女性は980万人いるとされ、女性は閉経後(へいけいご)の20年間で骨の量が20~30%少なくなるため、女性のほうが多いといわれています。
50歳以上では3人に1人、80歳以上では2人に1人が骨粗鬆症であるともいわれています。
当院の実際の施術現場では、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)だと自分ではわからずに、背骨の圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)を起こしてから骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が判明される方がほとんどです。
ですので、背骨の圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)が起きる前に骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の検査(骨密度検査)を整形外科でやっていくことが大事になります。
背骨の圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)を起こす原因として・・・
① 尻もちをつく、転倒
② 原因がわからない
③ 作業の動作中
④ 物を持って
の多い順となっています。
意外に「原因がわからない」ものが多いので、高齢の方の腰痛は注意が必要です。
圧迫骨折が多い背骨の場所は・・・
① 第1腰椎
② 第12胸椎
③ 第2腰椎
④ 第3腰椎
の多い順となっています。
第1腰椎と第12胸椎は、「胸腰椎移行部(きょうようついいこうぶ)」といわれる場所で、最も多く圧迫骨折が起こりやすい部分です。
また、1つの背骨が圧迫骨折すると、2つ目の背骨が圧迫骨折を起こす確率は3倍となり、2つの背骨が圧迫骨折すると、3つ目の背骨が圧迫骨折を起こす確率は7倍となります。
つまり、1度背骨の圧迫骨折を起こしてしまうと、新たに違う背骨が圧迫骨折を起こす危険性があるということになります。
その多くは、圧迫骨折した背骨の上下にある背骨に多く起こり、背中の丸みが強くなる原因となります。
痛みは、腰と背中の痛みがほとんどですが、お尻や脚に痛みがでることも少なくありません。
痛みの動作は以下の通りです。
① 起き上がり動作が痛みで困難
② 立っているとき、座っているときに痛む
③ 体を前かがみにすると痛む
④ 2~3分間ほどじっと立っていると症状が落ちついてきて痛みなく歩くことができる
また、痛みの動作以外には、背骨を上から叩いていくと、圧迫骨折をしている場所は痛みが強くなります(叩打痛)。
背骨の圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)が確実にわかる方法は、整形外科にあるレントゲン・MRIによる画像検査になります。
背骨の圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)は基本、整形外科での通院となります。
背骨の圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)の目的は、「圧迫骨折された背骨の変形の進行をできる限り抑えて、背中が丸くなるのを防ぐ」ことです。
ですので、圧迫骨折された背骨を体幹のギプスや硬いコルセットなどで固定をしていきます。
圧迫骨折した背骨がくっつく(癒合する)まで固定をするのですが、その期間は、圧迫骨折された背骨の状態の経過により、約2~3ヶ月半になります。
圧迫骨折した背骨がくっついて(癒合して)いることが確認できましたら、当院での施術は可能となります。
当院での施術は、背中まわりの筋肉ほぐしたり、背骨の動きをつけたり、体幹のストレッチ、仙腸関節(せんちょうかんせつ)の遊びをつけるなどを行っていきます。
まずは、背中が丸くならないように早期に固定することが大切です。